イチジク(無花果)

くわ科イチジク属、100種類以上。

無花果:花を咲かせずに実をつけるように見えたため
実の中の種のようにみえるツブツブが花

アラビア南部が原産で11000年以上前のものと思われるものが出土、「世界最古の栽培果樹の可能性」。

メソポタミアでは6000年以上前から栽培。紀元前2000年には古代エジプト、紀元前1400年頃にはギリシアへも伝来。日本には江戸時代に伝来。

旧約聖書の中で裸だったことに気づいたアダムとイブが体を隠すためにイチジクの葉を使ったともいわれている。


イチジクとの出会い(事の起こりは旧約聖書から)

  • 1961年、旧約聖書の列王記下20章からヒントを得て研究が始まる。

列王記下20:1-21『ヒゼキヤの病気とバビロンからの見舞い客』より抜粋

そのころ、ヒゼキヤは病気になって死にかかっていた。アモツの子預言者イザヤは彼のところにきて言った、「主はこう仰せられます、『家の人に遺言をなさい。あなたは死にます。生きながらえることはできません』」。
そこでヒゼキヤは顔を壁に向けて主に祈って言った、
「ああ主よ、わたしが真実を真心をもってあなたの前に歩み、あなたの目にかなうことをおこなったのをどうぞ思い起してく ださい」。そしてヒゼキヤは激しく泣いた。
イザヤがまだ中庭を出ないうちに主の言葉が彼に臨んだ、
「引き返して、わたしの民の君ヒゼキヤに言いなさい、『あなたの父ダビデの神、主はこう仰せられる、わたしはあなたの祈を聞き、あなたの涙を見た。見よ、わたしはあなたをいやす。三日目にはあなたは主の宮に上るであろう。
かつ、わたしはあなたのよわいを十五年増す。わたしはあなたと、この町とをアッスリヤの王の手から救い、わたしの名のため、またわたしのしもべダビデのためにこの町を守るであろう』」。
そしてイザヤは言った、「干しいちじくのひとかたまりを持ってきて、それを腫物につけさせなさい。そうすれば直るでしょう」。
ヒゼキヤはイザヤに言った、「主がわたしをいやされる事と、三日目にわたしが主の家に上ることについて、どんなしるしがありましょうか」。
イザヤは言った、「主が約束されたことを行われることについては、主からこのしるしを得られるでしょう。すなわち日影が十度進むか、あるいは十度退くかです」。
ヒゼキヤは答えた、「日影が十度進むことはたやすい事です。むしろ日影を十度退かせてください」。
そこで預言者イザヤが主に呼ばわると、アハズの日時計の上に進んだ日影を、十度退かせられた。
そのころ、バラダンの子であるバビロンの王メロダクバラダンは、手紙と贈り物を持たせて使節をヒゼキヤにつかわした。これはヒゼキヤが病んでいることを聞いたからである。
ヒゼキヤは彼らを喜び迎えて、宝物の蔵、金銀、香料、貴重な油および武器倉、ならびにその倉庫にあるすべての物を彼らに見せた。家にある物も、国にある物も、ヒゼキヤが彼らに見せない物は一つもなかった。
その時、預言者イザヤはヒゼキヤ王のもとにきて言った、「あの人々は何を言いましたか。どこからきたのですか」。ヒゼキヤは言った、「彼らは遠い国から、バビロンからきたのです」。
イザヤは言った、「彼らはあなたの家で何を見ましたか」。ヒゼキヤは答えて言った、「わたしの家にある物を皆見ました。わたしの倉庫のうちには、わたしが彼らに見せない物は一つもありません」。
そこでイザヤはヒゼキヤに言った、「主の言葉を聞きなさい、
『主は言われる、見よ、すべてあなたの家にある物、および、あなたの先祖たちが今日までに積みたくわえた物の、バビロンに運び去られる日が来る。何も残るものはないであろう。
また、あなたの身から出るあなたの子たちも連れ去られ、バビロンの王の宮殿で宦官となるであろう』」。
ヒゼキヤはイザヤに言った、「あなたが言われた主の言葉は結構です」。彼は「せめて自分が世にあるあいだ、平和と安全があれば良いことではなかろうか」と思ったからである。
ヒゼキヤのその他の事績とその武勇および、彼が貯水池と水道を作って、町に水を引いた事は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。
ヒゼキヤはその先祖たちと共に眠って、その子マナセが代って王となった。

「イチジクのかたまりをつけなさい。そうすれば治るでしょう

  • 腫れ物は、細菌か異形細胞(がん)によるものか? ⇒異形細胞であり、それを治す有効な成分がイチジクの中にあるのではないかと閃いた。

イチジクの研究

  • イチジク畑で購入後、製氷会社で冷凍保存。 中東から干しイチジクを輸入×⇒生のイチジクへ
  • 最初はイチジクの白い液をハツカネズミをつかって実験。 ⇒次々にネズミが死亡
  • 次に果汁から抽出した物質つかって実験。 ⇒マウスのEhrlich腹水癌を用いて実験した結果、イチジクの果汁を活性炭で吸着し、それをアセトンで溶出したものの揮発性成分が、効果を示すと共に臨床的に制癌作用があることを発見。
    イチジクの抽出液に含まれている揮発性の物質に抗がん作用あり。
  • 1969年、イチジクによる抗がん物質の製造法の発明特許を取得

イチジクの抽出方法

  • 冷凍のイチジクを解凍した後、肉屋が挽肉をつくるときに使用する機械を改良した装置で、何キロものイチジクを潰してドロドロのペースト状にする。
  • ペースト状になったイチジクを水で10倍くらいに薄めてよくかき混ぜた後、細長く作ったサラシの袋に入れて漉す。
  • こうしてできた液と活性炭を一升瓶に入れ、よく振って攪拌し、活性炭に物質を吸着させる。
  • 遠心分離機にかけて、活性炭だけを乾燥させる。
  • その乾燥した活性炭を溶媒液に移し、不要な物質を除去した後、蒸留してできたものが、イチジクの抽出液。

ヒトに対する臨床試験

  • 最初の症例は東風博士の親族 71歳、全身に進行した骨腫瘍であり、自分に試してほしいと申し出てくれた。一度断ったが、嘆願書を持って治療を希望。東風博士は自分に注射して安全性を確かめてから投与。
    ⇒硬かった腫瘍が徐々に軟化していった。小さい腫瘍は消失し、大きな腫瘍部分も軟化してきていたが、全身状態が低下しており、5カ月後に他界。
  • 次は胃がん 60代で、大学病院で診断を受けたが、手術を拒否して受診。 3カ月の注射治療で完治。

抗がん作用のある物質の同定

  • 1969年から理化学研究所と共同研究開始。 当時の最新技術である「高速液体クロマトグラフィー」を使用。
  • 1971年、イチジクの揮発性物質がベンズアルデヒドであると同定された。